名古屋大学高等教育研究センター第215回招聘セミナー・第6回学生支援担当者講習会
大学の危機における学生対応-加害学生への相談実践から-
開催日 |
2024.03.08(金) 13:00-15:00
大学の危機における学生対応-加害学生への相談実践から-
オンライン
定員:100名
開催レポート
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登壇者 |
今江 秀和 氏(広島市立大学国際学部 准教授) |
応募締め切り | 2024.03.05(火) 23:59 |
大学生が出会う危機にはさまざまなものがあり、その中には事件や事故の加害者になることも含まれる。学生が加害者になるということは、大学にとっても、加害者となった学生にとっても重大な危機であり、その対応をどうするかは大きな問題となる。学生相談領域では、その対応の難しさもしばしば話題にのぼるものの、研究や報告は少ない。今回は、学生相談機関での相談実践を中心に大学の危機とその対応について考えてみたい。
本セミナーはZoomによるオンライン開催です。
オンラインの参加の要件等
・マイクが利用可能で、高速インターネットに接続されたPCが用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
※申し込みフォームに必要事項を入力し、回答を確認・送信してください。
回答が完了すると、入力したメールアドレスに登録内容が自動返信されます。迷惑メールに振り分けられることがありますので、ご確認ください。
参加方法
参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします。
主催
名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点]
共催
名古屋大学学生支援本部
諸連絡
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開催レポート
大学における加害学生への対応について、学生相談機関での相談実践を中心に講演を行った。加害学生への対応の話に先立ち、まず大学生が加害者になる事態にどのようなものがあるかについて述べ、ついで最近の大学生の犯罪について触れた。
「加害学生は学生支援の対象か?」という問いについて、大学における教育が学生の全人的な成長を目指すものであることを考えれば、大学に籍がある加害学生は支援の対象であるという演者の考えを述べた。
加害学生の支援の目的を、新たな被害者を出さないこと、加害学生が社会で安定して生活していけるようになることとし、そのために必要なこととして、①自分の犯したことを認識すること、②自分の特徴、傾向を理解すること、③同じようなことを起こさないよう防止できる力を身につけること、④被害者に対する共感性を養うことを挙げ、解説した。そして、加害学生の支援を担う者は、教員、職員、カウンセラーなど加害学生に関わるすべての人とした。
学生相談領域における加害学生の先行研究が少ないことに触れたあと、事件の加害学生の事例を提示し、事件の加害学生の中には、自分の行為や問題に対する認識が乏しかったり、動機づけの乏しい学生がいること、その対応として大学が加害学生にカウンセリングを義務づける義務的カウンセリングが行われることがあることを説明した。また逆転移の問題についても議論した。ついで事故の加害学生の事例を提示し、事故加害者への対応の必要性と留意点、逆転移について取り上げた。
最後に、事件の加害学生、事故の加害学生のいずれの対応においても重要と思われることとして、①再び同じことを繰り返さないよう支援すること、②信頼関係の構築、③加害学生の話に耳を傾けること、④アセスメント、⑤発達の視点(生育歴、発達の特性)、⑥逆転移に注意を払うこと、⑦学内の連携、⑧相談窓口等の情報や知識を持つことを挙げ、まとめとした。