名古屋大学高等教育研究センター第116回客員教授セミナー
大学から高等教育へ:1960-70年代日本の大学・高等教育改革の再検討
開催日 |
2024.11.28(木) 15:00-17:00
大学から高等教育へ:1960-70年代日本の大学・高等教育改革の再検討
オンライン
定員:100名
開催レポート
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登壇者 |
戸村 理 氏(東北⼤学⾼度教養教育・学⽣⽀援機構⾼等教育開発部⾨⾼等教育開発室 准教授) |
応募締め切り | 2024.11.26(火) 23:59 |
戦後⼤学改⾰によって誕⽣した新制⼤学は、⼤学進学機会の拡⼤に⼤きく寄与した⼀⽅、その成⽴経緯から種々の問題を内包していた。その問題は新制⼤学発⾜後 10 年を経ずに顕在化し、1960 年代には⼤学進学率の上昇とあいまって深刻化、社会問題化する。こうして⼤学は改⾰の時代を迎えることになるわけだが、本セミナーでは、1960 年代から始まる⽇本の⼤学・⾼等教育改⾰が何を問題視し、どのような⼤学・⾼等教育像を設計しようとしていたのかについて、あらためて検討する機会にしたいと考える。
本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。
オンライン参加の要件等
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
参加方法
参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします
主催
名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点]
諸連絡
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開催レポート
本セミナーでは、1960-70年代の2つの中教審答申における大学・高等教育機関の目的・性格に関する議論・審議経過に注目し、その議論の根底に共通して見られた改革の焦点について考察した。当日は導入として戦後大学改革に関する先行研究の評価を確認したうえで、以下、「38答申」と「46答申」の審議において、大学・高等教育機関の目的・性格を検討した2つの特別委員会の検討を試みた。
まず「38答申」では、第15特別委員会での委員や参考人の意見を取り上げた。そして大学の種別や修業年限、何よりも一般教育に関する問題点が数多く言及された事実を紹介した。周知の通り、一般教育は戦後大学改革によって新たに導入された科目である。だがこれによって旧制大学と比べて専門教育に充てられる時間が短縮された。しかも市民的教養や人格形成に寄与することが期待された一般教育について、当時の大学教員の多くはそれをどのように行えばよいのかがわからず、その教育内容・教授方法にも苦慮していた。結果として第15特別委員会では、一般教育は各高等教育機関の教育目的に応じて定めるべきであるとし、高等教育機関を大学院大学・大学・短期大学・高等専門学校・芸術大学の5つに種別化した事実を確認した。
次に「46答申」では、第26特別委員会での複雑な審議経過を一次資料も紹介しつつ紹介した。ここでも最も大きな問題は一般教育の取り扱いであり、学校体系をめぐる対立では、既存(当時)の4年制大学とは修業年限も教育課程も異にする「一般大学」と「専門大学」という新たな構想があったこと、そしてそれらを「別種積み上げ式」とするのか、「多様並列木式」とするのかで議論が紛糾した事実を紹介した。加えて教育課程も、一般教育と専門教育という枠組みから、「総合専門教育」、「特殊専門教育」、「特殊学芸教育」という枠組みへと変更する案を文部省が提示していたことを紹介した。他にも論点が数多くあったことを示したうえで、結果として、第1種の大学(総合領域型・専門体系型・目的専修型)、第2種の短期大学(教養型・職業型)、第3種の高等専門学校、第4種の大学院(修士相当)、第5種の研究員(博士相当)という区分で種別化・類型化した事実を確認した(機関名はすべて「仮称」とされた)。
以上の事実から、両答申には、大学の「教育」改革という意味で、連続性・一貫性が見られるとした。さらに大学・高等教育機関の改革、つまり種別化・類型化の議論の背景には、戦後新たに大学の教育課程に加わった一般教育の問題があったことを仮説的に提示した。