名古屋大学高等教育研究センター第117回客員教授セミナー
インターンシップ効果の総合的研究
開催日 |
2025.03.06(木) 15:00-17:00
インターンシップ効果の総合的研究
オンライン
定員:100名
開催レポート
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登壇者 |
梅崎 修 氏(法政大学キャリアデザイン学部 教授) |
応募締め切り | 2025.03.04(火) 23:59 |
2020 年代に⼊ってからインターンシップは量的拡⼤と質的多様化が進んでいる。インターンシップの効果の把握は、その実践にとっても必要であるが、分析が追い付いていないと⾔えよう。本報告では、インターンシップの効果測定尺度の開発とその尺度を使ったインターンシップ体験の質的な分析を報告する。特に希望業界などの絞り込む焦点化と、業界の多様性に気付いていく展望化に着⽬する。焦点化と展望化に焦点を当てることでインターンシップ効果の過程が明らかになる。
本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。
オンライン参加の要件等
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。
以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。
対象者
⼤学教職員、学⽣、その他⼤学関係者
参加方法
参加申込された方にセミナー開催前日までにお知らせします
主催
名古屋大学高等教育研究センター[質保証を担う中核教職員能力開発拠点]
諸連絡
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開催レポート
近年、急激に拡大している大学生のインターンシップについて、効果測定尺度の開発を中心に、インターンシップの効果について報告を行った。 第一に、2020年に刊行した、以下の共著論文についてその開発プロセスを説明した。特に、既存のキャリア探索の尺度や大学生版のキャリア意識の尺度との違いについて詳しく説明した。 初見康行, 梅崎修, 坂爪洋美「大学生のインターンシップ効果測定尺度の開発-テキスト分析とパネルデータによる実証研究」『日本労務学会誌』第21巻3号に加えて、インターンシップに特化した効果測定尺度が、インターンシップを含めた職場体験を含むキャリア教育において実践上の価値があることを報告の中で確認した。実践上の価値とは、効果測定を導入することによって同じプログラムでも学びの個人差が生まれること、その個人差に対応してプログラムの改善が行わる可能性を示したことである。 続けて、実際に一つのインターンシップのプログラムを取り上げ、定性的分析の例を紹介した。まず、効果測定尺度の項目の中でもキャリアの焦点化とキャリアの展望化という方向が異なる二つの因子に絞り、効果の大きさを比較して、両効果が大きいAグループ、どちらか片方が大きいB・Cグループ、両方が小さいDグループという4つのタイプに分けた。そして、参加者にグループインタビューを行って、そのような学びの過程の違いが生まれる要素を学生たちの語りの中から探った。 この分析は、現在進行中のものであるが、SCAT(Steps for Coding and Theorization)を使用して、すべての語りのコーディングまでは進んでおり、いくつかの事実発見がある。例えば、Aグループでは、語られる体験の具体性、事前計画があること、実力の認知が行われること、能動性や他者の存在が活用されることなど確認できた。一方、他タイプには、具体性の欠如、不安や焦りの存在、決断の一貫性のなさなどが確認できる。また、Dグループに関しては、語りそのものが少なかった。 最後に、以上のような定性分析の事実発見を踏まえて、学ぶ過程の個人差を踏まえたキャリア支援の在り方、4年間の大学生活の中でのインターンシップ・プログラムの段階化などを提案し、報告者と参加者で有意義な議論をすることができた。